不思議な夢

我が家では、ちょうど先週末、
暑苦しいからって冬掛けの布団を片付けてしまい、
そんな時に限って一昨日みたいに
寒い夜になってしまったりして。

一昨日はショートパンツ、半袖のTシャツで寝たんだけど、
寒くて寒くて夜何度も起きてしまって、
その時きちんと一度起きて長袖長ズボンの
暖かい格好に着替えればよかったんだけど、
不精してしまって、起きては寝て起きては寝てを
繰り返していたら、寝不足になってしまい、
朝、『あ~、なんでキチンと着替えなかったんだろう』
と、当たり前のように後悔してしまった。

寝て、起きて、を繰り返していると
やはり睡眠が浅いみたいで、それこそ数ヶ月振りに
夢を見たようだ。
久しぶりの夢だったから朝起きた時、
『覚えていよう』
と思って、一生懸命反芻して繰り返し繰り返し
頭の中で整理したはずなんだけど、
一部分が抜け落ちてしまって思い出そうとしても
断片しか思い出せない。

それは少し不思議な夢だったんだ。

ようやく、思い出した断片だけでも
記録しておこうか。
少しだけ、お付き合いを。

実家から10分くらい歩いたところに
地平線の彼方まで田んぼが広がっている場所があって、
そこは本当に360度広大な田んぼが広がっていて、
僕はその中の1本の畦道をトボトボと歩いてる。
普通、畦道ってのは田んぼを碁盤目状に分けるようにして
整備されてるはずなんだけど、なぜかその田んぼには
横道が無くて、縦方向に何本もの道が均一に
並んで走っているだけで、手前と奥へは進めるんだけど、
横方向へは進めない。

僕はその道を奥へ進んで行く。

周りは夕方でもないのに
真っ赤に夕焼けのように染まっていて
田んぼの奥に見える広い湖は水面がキラキラ光っている。
周り一面をそれこそ気持悪くなるくらいの赤トンボが
飛んでいて歩いていると踏み潰してしまうんじゃないかと
思ってあまり足を上げないですり足をするように歩いていく。
歩いていると『前に進むな』と歩みを止めようとしているかのように
四方八方から赤とんぼが体にぶつかってきてチカチカ痛い。

すり足でゆっくり進む。

すると、前方から人がこちらに向かって歩いてくるのが見える。
その黒点は徐々に大きくなって像を結ぶ。

『あっ、バァちゃん….』

前方から歩いてくるのは実家の祖母。
バァちゃんは手を振りながらゆっくりゆっくり歩いてきて
僕のほうもすり足で歩いているもんだから、
ゆっくりゆっくりバァちゃんに近づいていく。
途中、すり足してるから土が靴の中に入り込んでしまって
気持ちが悪いから何度も何度も靴を脱いでは中の土を
捨てて歩いていく。
バァちゃんは、そんなのお構いなしみたいで、
相変わらずゆっくりゆっくり歩いてくる。

徐々にバァちゃんと僕の距離は縮まって
二人は向き合う形で歩を止める。
バァちゃんはいつも通り、モンペのように
ぶかぶかのズボンに割烹着のようなものを
着て頭には白い手ぬぐいを頬っ被りしている。

『バァちゃん、靴のなかの土、気持悪くないの?』

と僕が聞くと、うんうんと頷くばかりで喋らず
じっと、オレのことを見てるんだ。

どのくらい経ったろうか….。
バァちゃんが、やっと一言しゃべる。

『じゃんけんしようか?』

えっ?っと僕が声を出した瞬間、バァちゃんが

『じゃ~んけ~ん…..』

と言い出したから、僕もとっさに構えて

『ぽん!』

バァちゃんの掛け声と2人同時に手を出した。
バァちゃんはパーで僕はチョキ。
『あ~っ…..』
っとバァちゃんは言って一度僕にうんっと笑いながら頷いたと
思うと突然畦道から田んぼへ飛び込んだ。

この畦道は田んぼから2メートル弱の高さがある。

『バァちゃん!!』

僕がバァちゃんの飛び込んだ方向を見ると
バァちゃんは、田んぼの中に立っていて
膝くらいまで水に浸かっていた。

『大丈夫!?』

僕が聞くと、うんうんっと頷きじっと立っている。
すると、見る見るうちにバァちゃんの体が田んぼの土の中に
沈んでいく。

『バァちゃん!!早く!早くこっちに上がって!!』

バァちゃんはうんうんっと頷いてはいるけれど、立ったまま
微動だにせず、じっと僕の顔を見ながら田んぼの中に沈んでいくんだ。
そして首まで土に埋った時、それはそれは僕も見たこともないような
苦悶の表情を浮かべて

『助けてくれ~~!!』

と、大声をはりあげながら田んぼのどす黒い土の中へ沈んでいくんだ。

僕は成す術もなく事の成り行きをみてるんだけど、
思ったより哀しいわけでもなんでもなくて、
バァちゃんが完全に沈んだ後、また何事も無かったように歩きだす。

その後、どういう成り行きだったか忘れてしまったんだけど、
僕はなぜか湖の中央に立っていて、僕の目の前には雲をつくような塔があって
僕の傍らにはマンションの隣の部屋に住んでいるおじさんが立っていて、
塔を指差しながらニヤニヤ笑っている。
そして僕を見て、うんうん頷いているんだ。
僕は何を思ったのか、その塔を登り始める。
その塔は、いかにも塔といった感じで表面に凹凸があって
その凹凸に足や手を掛けながら、必死になって登っていく。
しばらく登り続けて、やっとの思いで塔の頂上に着いて下を見ると
おじさんはまたニヤニヤしながらどこかに消えてしまう。

その後、僕は意を決したように塔から飛び降りようとする。
僕の中の『僕』が「もっとよく考えてから飛べば?」って言ってるんだけど
そんなのお構いなしで飛び降りるんだ。

その瞬間、目が覚めた。

まったく…..。冬掛け布団を片付けるのが早すぎたな。
嫁と息子はちゃっかり合い掛け布団とか出して使ってて
そんなに寒くはないみたい。
なんで、お父さんの分はないのよ……(;´Д`)
お父さんだけタオルケットだけかよ……。凍死させる気か?

ちょっと早めに起きたけど、二度寝するような
時間の余裕は無いので、そのまま出勤の準備をする。
あ~、不思議な夢見たな~。

それが一昨日の朝の話。

今さっき、嫁さんから連絡があって隣のおじさんが亡くなったらしい….。

以前から人工透析とかしてる人で、
ここ最近は入退院を繰り返してたみたいだけど
昨夜から自宅に帰ってきてて、今朝方亡くなられたそうです。
嫁さんが出勤するときに、隣のおばさんに会って聞いたようです。
『まぁ、長生きしたほうでしょ』
とおばさんはおっしゃってたそうです。
僕には70歳弱が早いのか遅いのか分からないけど。

とにかく、ご冥福をお祈りしつつ、
一昨夜の不思議な夢を思い出しました。
嫁に話してもウソだと一刀両断にされるので、
話すのはやめようと思います。

心配になって実家のバァちゃんに電話をしたら
特に何事もなく心配いらないとのこと。

ふ~、一安心。
不思議な夢だったな。タイミング的に。

嘘のようなホントの話。