夜な夜なバーで逢いましょう

新しい何かを求めて

深夜のバーには魅力的な人たちが集まります。

僕は家庭持ちの普通の中年会社員です。
会社の同僚や友人を見渡しても同じような人生を歩んでいる普通の人ばかりです。
ということは、人生のほとんどの時間を同じような状況の普通の人達と過ごしています。

そういう意味で深夜のバーは昼間には絶対知り合えない人達でいっぱいです。
コレが魅力です。

僕の通っている飲み屋の常連にルタさん、スーさん、ガブさんという人たちがいます。

ルタさんは30代の男性で古本屋をやっています。
スーさんは30代女性で医療関係。
ガブさんは50代男性でSEです。

この3人は本業をやりつつ不定期でこの店で働いているという変わり種です。

この店はよっぽどの事が無い限り1人で店を切り盛りするスタイルです。
彼らは自分の空いている日だけ夜から朝まで1人で店に立っています。
さすがに翌日休みの日しか入らないのだと思いますが詳細は不明。

なぜこの形になったかと言うと店長のヘイちゃんの休みを作るためです。
店をやっていると休みが取れないと常連連中との話の中でチラッとボヤいたのがキッカケのようです。

そのボヤキに対して常連連中が「だったら入ってやるよ」と。
常連の中でも、特にこの3人は本業の時間に融通が利くということ。
とはいえ普通はやりませんよね。
それを「やれるだろ」とテイクアクションするあたりの身の軽さが素晴らしい。普通はなかなかできません。

実際に店に立つとなれば、各種酒の作り方、出し方。料理の仕込み方をレクチャーしてもらわなくてはなりません。
それを本業プラスアルファでやるのは、軽いノリでできる事じゃありません。
きっかけはともかくとして、彼らなりに「やってみたい」と前向きに新しい事をやろうと思ったのだと思います。

実際、僕も状況が整っていればちょっとやってみたい気持ちがあります。(奥さんの理解を得られれば)
マンネリというか、やはりもし何か別の事をする機会があるのであれば、しかも自分の知らない世界であれば、なおさらチャレンジしてみたくなるのだと思います。

実際、彼等を見ていると、とてもイキイキしているのです。

ある日飲んでいると、ちょうどルタさんが入ってきて昨日の状況を店長に話し始めました。

「これ昨日の売り上げ。あんまり良くないけど....」

「最近、ドリンクは○○がよく出るから多めに発注したい。逆に、夏になってこのツマミはあまり出ないから一旦止めてもいいかも」

「これの発注って直接あそこに電話しちゃっていいんだよね?」

イキイキした目でヘイちゃんに報告しています。
30代にして、こんな目で仕事ができるっていうのはうらやましく思いながら、同時に同世代の人間がこんな顔してアレコレ話しているのを見るだけで、なにか嬉しい気分になってしまいます。

そんないつもとは別のコミュニティがココあります。

-夜な夜なバーで逢いましょう