夜な夜なバーの人間模様

相変わらず深夜のバー通いは続いています。
もう常連の域です。

この記事を書くために始めたバー通いです。
俯瞰で見なくてはと、出来る限り距離を置いて、ただジッと周りの話に聞き耳を立てている客であろうとしたのですが、世の中そんなうまくいくわけがありませんでした。

当たり前ですが長く通えば通うほど周りも顔見知りになってしまいます。
こちらが望む望まざるに関わらず親しくなるに決まっています。

今はもうすっかり常連の扱いになってしまったので客観的に記事を書くのは難しくなってしまいました。

とはいえ、親しくなれば、親しくなったなりに書くことがあるものです。

深夜1:00のバー。
なんかバーって言い方も店の雰囲気にちょっと合ってない気がするので飲み屋って言います。
深夜1:00の飲み屋にお一人様の女性客というのは、あまり見かけません。
そういう言い方はちょっと一方的ですね。
「この店の場合はほぼ居ない」と言ったほうがいいですね。

この時間は男だらけ。
高校の部室のような男だらけの空間です。

そんな中に谷さんと山さんという常連がいます。
両人とも50代。

谷さんはちょっとしたお店をやっています。
山さんは外資系商社の社員で東京に単身赴任中です。

山さんは、青春期をバブルど真ん中で過ごしてきた軽い感じの人です。
百発くらい殴られた石田純一って感じ。

悪くいえば話しぶりは軽薄に感じに聞こえます。
ウソかホントか分からないような。
でも、その語り口の端々に知的な雰囲気を漂わせます。
わざと軽薄そうに見せておいて、実際はそんな事はないってとこが魅力的です。

もう一人の谷さんの方はロマンチストというか、人情派というか。50代にして、かなり純粋な人です。

新規のお客さんが来たときなんかは、グイグイ話しかけていきます。
寂しくしてるんじゃないか?と勘違いしてるんだと思います。
一人でゆっくり飲みたい人もいるでしょうに。
あまりそういう風には思わないみたいで、ドンドン話しかけます。
そして、どうしようもなく寒い話をして場を凍らせたりもします。

だからといってイヤな感じではなく相手をグイッと仲間にする包容力があります。
お店のオーナーだからでしょうか。
そういう雰囲気がある人です。

飲み屋では山さんのような感じの方に人が集まります。
フワッとした話にしかならないので身になりませんが、別にみんななにかを得ようと期待して夜な夜なお酒を飲んでいるわけではありません。
みんな楽しくお酒を飲みたいだけですから。
たまに来店する女性たちもどちらかと言えば軽い感じでおしゃべりをする山さんの周りに集まっている気がします。

じゃ山さんはモテモテかといえば、そんな事はなくて。
最初はかろうじて話はしているものの、一人でベロベロに酔っぱらい始め何を言ってるか分からない状態になり、最終的にはその場で寝始めます。

いつもその流れです。

一方の谷さんはグイグイ話しかけます。
男女関係なくです。
会話の幅は広いので男性の場合は、そのまま話し込み意気投合したりしています。

女性の場合は?というと、まぁ総スカンです…..。
真面目な人なので相手の話をよく聞いて話していくスタイルです。
相手の話を聞いて話し込んでいくってのは、イコール相手を深掘りしていくって事ですから、最初はイイですが、そのうち面倒になっていくのでしょう。その流れでマヒャドばりの凍てつく事を言うので、まぁ、どうにもならないです。

谷さんはバツイチで独身です。
そして今スナックで働く30代女性に恋をしています。
もう数年に渡って恋をこじらせています。

話を聞けば聞くほど、脈が無さそうな感じなのですが、本人に諦めるつもりはありません。
たぶん、本人も薄々感じているのでしょうが、後戻りできない所までいってしまっているといった状況です。

僕はココに来るようになって、まだ半年しか経っていないので知らないのですが、周りの常連達はこのネタをアテにかれこれ2年くらい酒を飲んでいるらしく、男50代恋愛体質なんて揶揄される有様。
男はつらいよの寅さんのようです。

僕は個人的にはこういう純粋で不器用な人が好きです。
信用できるというか。
世の中ドンドン現実的なサバサバした人が多くなってきた気がします。
こういう人と話をしていると安心するんですよね。

こんな谷さんに対しては、あのいつもヒラりヒラりとしてる山さんが

「僕には谷さんの事が全く理解できません!」
「いつまであんな事やってるんでしょうか!」
「日本男児らしくキッパリあきらめなきゃダメ!」

っとムキになって話しているのです。
このムキになってしまうという所はとてもイイのです。

そんな光景をみると微笑ましいというか、これが中年男性の可哀げなんだろうなっと思ったりするのです。

人間は赤ん坊の頃は可愛げがあり、
大人になりそれが無くなる。
そして、歳を取ってくると可哀げが出てくるのだろうなっと思ったりするのです。

普段誰に対してもヒラリヒラリしている山さんが谷さんにだけはムキになって怒っているのを見ると、二人の他の人よりちょっと深い付き合いを感じてしまいます。(夜の飲み屋なので深い人間関係なんてのは無いです。他よりちょっと深い程度でしょうね)
年も同じくらいなので山さんなりのエールなのでしょう。

夜の飲み屋には、ちっぽけだけど微笑ましい人間関係があったりします。