夜な夜なバーで逢いましょう

「鍵がない」の真意

こんにちは。
ブロフロです。

深夜1:00。
いつものように雑居ビルの2階へ。

こんばんは。

いらっしゃい。

本日の先客は、1つ目のテーブル席に男性2名、もう1つに女性2名、男性1名。
カウンターに男性2名、女性1名。
僕が入店すると同時にカウンターに座っていた男性2名が席を立ったので、カウンターには女性1名。

僕はいつものように入口から2つ目カウンター席に座ります。

レモンサワーでいいですか?

レモンサワーで。

最近、1杯目は日本酒からレモンサワーに変わりました。
春になってきましたからね。
ちょっとスッキリしてるのが飲みたくなります。
この店は日本酒メインの店なので焼酎ではなく日本酒でレモンサワーを作ります。
日本酒を入れ、その上から炭酸をサァーっと入れます。
その上に4つ切りにしたレモンのうち2つをポンポンっと入れてくれます。
日本酒と炭酸とレモン。
コレがまた合います。

コレを一気に半分くらいグイっと飲み干します。

う~ん。ウマい。

好きですね。レモンサワー。

ウマいですね。シンプルにウマい。

いつものように店主と話をしてるとガチャッ扉が開いて結構キレイな女性が1人入ってきました。

店主が声を掛けます。

あれっ!?どうしました?

家の鍵が無くなってしまって.....。

え~~!!?

店内一同大騒ぎです。
この女性、つい先ほどまでココで呑んでいたようです。

私、ココのお支払しましたか?

もらいましたよ。

あれ~?お財布も無いんですよ。バッグも。

え~!?

1人の女性客が少し考えて言います。

えっと、たしかバッグは持ってなかったですよ。
お代はポケットから直接支払っていましたよ。

そうでしたか....私酔っぱらってしまっていて。
全然覚えてないんです。
でも、お代はお支払してるんだったらよかったです。
でも、どうしよう.....。

そりゃ、そうです。
深夜1:00過ぎに鍵が無いんですから.....。

仕方ない。

1人の男性客が立ち上がります。

じゃ、先に上がるよ~。ごちそうさま。

40代の男性客が席を立ちます。

じゃ、一緒に探してやるよ。

え~、ホントですか。ありがとうございます。
では、皆さんお騒がせしました。

2人が店を出ていきます。

もちろん店内は騒然です。

なになに?
あの二人どうすんの?
今から二人で鍵探すわけ?

店主が一言。

皆さん大丈夫ですって。
カギはあるんですって。絶対。

えっ?どういうこと?

カギは持ってるんですよ。
一回、店を出て家に向かおうとするんですが、でも一人で家に帰るのが寂しくなって店に戻ってきちゃうんですよ。
それで、鍵が無いって言って一緒に帰ってくれる人を探すわけです。

えっ.....えっ!?そゆこと!?

そうです。
このままあの二人は、どっかに行くんですよ。たぶん。
たぶんって言うか間違いなく。

今夜の相手を探すって事?あんなキレイな女性が?

まぁ、言い方悪いけど、そういう事です。
寂しくなっちゃうんでしょうね。
1人で来て、ココでみんなでワイワイ呑んで、一人で帰ると。

マヂ~。そんな世界があるんだ。

この流れはこの業界に長い事いるとよくあるパターンです。
それにあの女性は常習ですね。
本人覚えてるかどうか微妙だけど、前にもココで同じ件をやってるし。
この流れでヤッテしまうでしょ。
んで、今度またココで偶然会ったとしても、あなた誰でしたっけ?みたいな顔して知らない顔するんですよ。
このパターンはもうこの業界じゃ「あるある」です。

マヂか。
この年齢で、そんな世界がある事を初めて知りました。
つまり女性のあの言動をみて、あの常連男性客は「じゃ、相手してやるか」って事で席を立ったわけです。
そして、次回あった時はお互い何もなかったですよ。みたいな顔して別々で呑むっていう。

なんとも雅な大人な世界を目撃してしまいました。

お代は見てのお帰り。

-夜な夜なバーで逢いましょう