昼飯はラーメンを食べようということで
オッサン4人で人形町のほど近くまで歩き
食べ終えた帰り道、下町らしい和菓子屋を見つけた。
(西尾)『おっ!和菓子屋だ!
”苺大福”買ってもいいですか?』
(部長)『いいよ。それにしても中々雰囲気のある店だね』
(上原)『昔からありますよね。ココ』
(僕)『ホント、気付かなかったな』
(西尾)『すいませ~~ん。
苺大福ありますか?』
(店主)『ごめんなさいね~。
苺大福は季節じゃないから。今はないんですよね~。
もう少し待ってくださいね~』
(西尾)『あちゃ~そうですか~。
では、豆大福を4つください』
(店主)『はい。ありがとうございます』
代わりに、でっぷりと丸く大きい豆大福をいただき店を出る。
(西尾)『いや~。和菓子屋に苺大福が無いなんて
考えられませんよ』
(僕)『そうだね。今の世の中、希望のモノが無いなんてコト
滅多にないからな~。
コンビニやイオンに行けばいつでも何でも売ってるし。
”今は季節じゃないから”って理由は新鮮だよね』
(部長)『ホントだね。
でも、それって実はスゴク大事な感じするよね。
モノが溢れる世の中になって一年中お望み通りのものが
手に入るようになって確かにとても便利な世の中なわけだけど。
便利になった代償として昔から四季がある日本の文化というか、
習慣というか、季節を楽しむ心みたいなものが、
徐々に日本人の中から消えていってるってことだからなぁ』
(上原)『それ言えますね。食べ物に関しては特に。
食べる気になれば、何だって調達できますもんね。
でも、やっぱり季節ごとに旬の美味しい物があるわけで、
例えば、今なら栗だったり、柿、梨、きのこ類、秋刀魚とか。
冬は、大根、みかん、りんご、魚なら鰤(ぶり)、鱈(たら)、牡蠣(かき)』
(西尾)『上原さん。詳しいですね。』
(部長)『昔は、いつでもなんでも食べられなかったから、その季節に
美味しい物を探して食べたわけだよね。
同時に、”この食べ物が美味しいから、この季節がやってきたなぁ”
と感じることができたわけだね』
(西尾)『そうですね。確かに。
僕なんて、毎日、朝飯は菓子パン。昼は蕎麦。
夜は肉類。ハンバーグとか、餃子とか。あとはオムライスとか。
季節に関係ないものばっかりですからね。
しかも、内勤で外に出ないから、
ほとんど季節を感じることはないです。』
(僕)『これからは意識的に季節のモノを食べたりするように
心がけるとイイかもね。心が豊かになる。オレもそうしよう』
秋空に豆大福を頬張りながら歩くオッサン4人でした。