部長がつぶやいた。
(部長)『昨日さ、「それでも僕はやってない」を観たんだけどさ。
スゲェ怖くなっちゃってさ。
今後のオレの通勤に影響を与えそうだよ』
(僕)『あぁ~、部長、東西線ですもんね』
(上原)『東西線は冤罪の巣窟ですよ。アレは』
(澤山)『東西線は本物の痴漢なのか、
それともどうしようもなくて触ってしまってるのか
判断のしようがないですよね』
(僕)『そうそう。葛西から茅場町まではヤバイね。アレは』
(部長)『でね。痴漢呼ばわりされてね。
「じゃ事務所まできてくれる」って言われて
頭に血が上っちゃってさ。
「あぁっ!ドコにでも行ってやるよ!オラッ!」
なんて、事務所に入っちゃったら最後、
もう、やってようが、やってまいが有罪みたいなもんらしいよ』
(僕)『へぇ~。そうなんですか』
(部長)『うん。だからね。できるだけ調書とったりする前の段階で
食い止めたほうがいいらしい。
例えば、疑いかけられたらパ~ンっと名刺なり免許なりの
身分証明書出して、逃げも隠れもしないからココに連絡くれと。
今は時間がないから。必要であれば後でココに連絡してくれと。
やったほうがいいらしい』
(僕)『なるほどね。流れで事務所なんていっちゃったら、
もう拘束されたも同然ですもんね。
流れで警察に通報されて、流れで任意同行させられて
調書取られたら、もう終わり』
(部長)『そういうことらしいよ。
だから、もし事務所に行ってしまったとしても自分から
ワ~ワ~騒がないで相手の出方を待ったほうがいいんだってさ。
もし、駅員とかが『痴漢したんでしょ?』なんて言ったもんなら
名誉毀損って形で反撃できるし、そのまま事務所で長時間待機って
ことになったら逮捕・監禁罪?っての?それで反撃できるとか。
オレ速効会社の顧問弁護士の電話番号携帯にいれたもの。マヂで』
(澤山)『なるほどね~。いろいろとテクニックがあるわけですね』
(部長)『うん。オレも又聞きだから軽く聞いといてほしいけどね』
(上原)『部長。軽くも何もその状況にならないことが先決ですよ~』
(部長)『まぁ、そうね。でも、冤罪ってのは自分は望まなくてもやってくる
ものだからね』
(オレ)『そうですよね。抗えるものじゃない。
タイミングの問題ですもんね』
(部長)『そうなんだよね。だから怖いよね』
(上原)『だから、アレですよね。
女性専用車両みたいに。男性専用車両も作りゃいいんだ』
(澤山)『それはいえる。
もういっそのこと女性、男性別々にすりゃいいんだ。
もちろん、ラッシュ時だけね。
大体。え~~っと、7対3くらいの割合で
全車両、男性専用=7、女性専用=3にしちまえばいいんだよ』
(上原)『いいすね。それは。絶対に冤罪がおこらない』
(澤山)『んで、間違って乗っちゃった場合は、
何があっても文句言えないみたいな』
(上原)『うわっ!澤山さん。なんか興奮すんな!それ!』
(僕)『アレだろ。OLが急いで列車に飛び乗って間違って
男性専用車両に乗ってしまう。
その場合、間違って乗ってしまったほうが悪いから、
何があろうと仕方ない。あぁ、哀れなOLの末路。
って、安いAVのシナリオじゃないんだから。
バカ言ってんじゃないよ。ったく』
(部長)『お前達みたいな妄想族がいるから犯罪が起こるんだよ。
そして、同時に冤罪が起こるんだよ。』
様々な意見が交わされた我が部署の活発な朝一の会議でした......。