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再稿『女は怖い生き物です』

※この記事は2011年2月8日に投稿したものを、ちょっと面白かったので
 編集、再稿したものです。それにしても、なんとも拙い文章。
 まぁ、大したことないですが、お時間があればちょこっとどうぞ。

高校時代、電車通学していた。
ある日、学校帰りに近所の駅で降りた瞬間、
フラッシュがパシャパシャと光り写真を撮られた。

当時、アマチュアバンドでギターを弾いていたオレは
『やべ~、ファンじゃね?うお~、緊張する~』とテンパッた。

チラッとホームに設置されている待合室を見ると
制服姿の女子高生が4,5人おり、コチラを見ながら
キャッキャッしている。
う~~ん。悪い気分ではない..........つか、超いい気分。
他の乗客も『なんだ?なんだ?』とギターを担いだオレを見ている。
『なんか有名な人か?』みたいな。

なんという優越感...........。
ピークだ。オレは今、人生のピークに達している。感涙。

待合室を左手に見ながら横切る。
流し目でコッソリ見ると、
よく知っている女子高の制服を着ている。(当時は女子高。磯山さやかの出身校)
当時、ココの生徒は半数がヤンキーテイストな女子で、
今でこそヤンキー?って感じだけど、高校の頃ってヤンキーテイストな子が
大人っぽくてカワイく見えたもんだ。わかるでしょ?
彼らの顔を見るとチョット幼さが残っていて、たぶん1年生。オレは3年生。
タマゴだ。美人のタマゴ。

母さん。事件です。事件が発生してます。
オレの人生でかつて経験したことの無い事件が発生してます。

知らないフリをして待合室を横切る。
今日は、ここまで。今日は、ここまでで十分。
お腹いっぱいだ。
オレのキャパはいっぱい、いっぱいだ。
今、これ以上、何かあっても対応できん。
もう今日はそ~っとしといてくれ~。

そのまま、階段を降りて改札を抜ける。
駐車場へ向い、すばやく自転車の鍵を開ける。
恥ずかしくてかなわん.....。
よ~し。いいぞ、今日はもう早くこの場を離れるんだ。

自転車に乗って、駐車場を出ようとした瞬間。
さらなる事件がオレを襲った。
母さん。事件です。母さんに教わったことのない事件が起こってます。

(女子高生A)『あの~.....突然すいません!!

(オレ)『..............アウッ(;´Д`)』

..................................人生初体験の間......

(オレ)『なっ、何か用?.........(;´Д`)』

(女子高生)『あの~........
      これ、よかったら使ってください。
      じゅっ、受験頑張ってください!!...........
      それからバンドも頑張ってください!!

(オレ)『.........................うぅぅぅぅぅぅ
     あっ、ありがとうございます~......(;´Д`)』

案の定というか........ある程度、予想していたというか......
さっきホームの待合室にいた女子の中の一人がオレに声を掛けてきて
リボンの掛かったオシャレな函をオレに差し出しているわけで。

たぶん、他の子たちは、この子の付き添いで来ていて
彼女のために、代わりにオレの写真をバチバチ撮っていて、
決して、オレのファンではないわけで...........
世の中そんなウマくいくわけないわけであり。

それは、あまりにも贅沢な話で。
その中の一人でもオレに好意を持ってくれていて
声を掛けてくれたこと自体が奇跡的なことで。

ホントにありがたい話で。
今のオレであれば、この子に対して、もっと気の利いた言葉を
掛けてあげたり、誠意を持った対応をしてあげられたんだと思うんだけど。

当時のオレは、正直、全然喜べる感じではなく。
寧ろ、迷惑に感じていて。
その理由というのが............。
スゲェ失礼なんだけど......。

その子が、その場に居た4,5人の

女子の中で一番、顔が

不細工だったからである。

ていうか、他の子たちは全然かわいくて、唯一その子だけカワイクなかったからである。

なんで、この子なんだ?他の子だったら.......
当時のオレは、そう思った。

でも、とりあえず、その函を受け取り
笑顔で.....笑顔で?笑顔だったかどうかは分からない。
(;´Д`)な顔だったかもしれないけど。
自転車でその場を速攻で離れた。

自宅に帰って、函の中身を確認すると
手袋とマフラーと手紙が入っていて、手紙には
彼女の名前と、軽いあいさつ文、
オレのことを知ったきっかけ等々が綴られていて、
最後に、
『これから冬になります。寒くなりますが体調に気をつけて受験頑張ってください』
と書かれていた。

それは11月頃の出来事だ。
確かに、寒くなるちょっと前で、
同封されていたベージュの手袋とマフラーは
これからの季節、ものすごく重宝するわけだった。

が、それをもらったオレは使うことは考えもせず、
寧ろ、明らかにその子の気持ちの込められたそれらを
直視できず、不気味に思い、迷惑がり机の隅の方に放置した。

それからも、その子のことを駅で度々目撃した。
彼女は、その時のことが恥ずかしいのか声を掛けてくることはなかった。
でも、遠めでチラッチラッ見ていることは気づいていた。

オレも声を掛けようとはしなかった。手を振ることさえしなかった。
正直、それどころか彼女を避けようと無視した。
恥ずかしかったからではない。
迷惑だったからだ。
オレのことをチラチラ見ている彼女が明らかに迷惑だった。
なぜなら、彼女はカワイくなかったから。
これが、カワイイ、好みの子だったら貰ったプレゼントを次の日から使っただろう。
『昨日はありがとう』と声を掛けただろう。
『今度、お茶でもどう?』と下心を出しただろう。

しかし、そうはならなかった。
彼女の顔が不細工だったから。

それから数週間経った頃、オレの部屋に入ってきた弟が
机の隅にあるベージュの手袋とマフラーを見つけた。

(弟)『兄貴、これイイじゃん。いい色じゃん。』

(オレ)『あ~、それ。お前好き?.............じゃ、あげるよ』

(弟)『マヂで!!ありがと!もらってくよ~!」

(オレ)『まてまて!!(;´Д`)』

(弟)『えっ、なに?』

(オレ)『お前、コレ学校にしていくつもりか?』

(弟)『うん。そのつもり。それ以外使わないし。』

(オレ)『やっぱり。それは止めて欲しいんだけど........』

(弟)『なんで?』

(オレ)『................う~~ん。なんでもない。いいよ。なんでもない』

オレと同じ高校に通う弟。
弟が学校にそれをつけていったとしたら駅で彼女に見られることになる。
それはさすがにヒドイな~と思った。
しかし、オレは何を思ったのか弟にそれを譲ることにした。
たぶん、弟を利用して彼女にオレの気持ちを分からせようとしたんだと思う。
『迷惑です。これ以上、オレに構わないでください』
って暗に伝えようとしたんだと思う.......。

ひで~~~。我ながら卑怯なやり口だ。

その後、相変わらず彼女のことは駅で見かけた。
しかし、明らかに彼女の様子が違っていた。
オレのことを見ている様子もなく、オレの周りに
近づいてくることもなかった。
たぶん、マフラーと手袋をオレの弟が使っているのを
目撃したんだろう。
そうでなければ、急激にあのような態度には
ならなかったはずだ。

オレはオレで、さすがに自分のやってしまったことに
後悔し反省していた。
なんであんなことをしちまったのかな~っ。
あの手紙で彼女は『オレのことを憧れている』と
言っていた。それだけだ。
『付き合ってくれ』とか『あなたの気持ちを教えてくれ』とか
『今度、いっしょに遊ぼう』とか言っているわけではなく、そうではなく。
『憧れています。頑張ってください』と言っているだけだ。

”彼女はオレに対して要求をしているわけではないのだ。
 一切、要求はしていない。自分の気持ちを伝えているだけだ。”

それなのにオレは、勝手に思い込み、返答することを恐れ、
彼女を毛嫌いし、傷つけた。
彼女はそんなことを求めていなかったのかもしれない。
彼女は、その時期の女子がそうであるように自分の気持ちを
伝えようとしただけだったのかもしれない。

アホなオレは、何ヶ月後かにそれに気づき反省し後悔した。
最悪な男だ。

そして、3月初旬。
オレは東京の大学に合格し志望校ではないにしろ
東京で遊びたい気持ちを抑えきれずに妥協し、
その大学に行くことを決意し、高校生活最後の一ヶ月を送っていた。

そんなある日。

オレは、駅で彼女をみつけた。
一人、電車を待っていると反対側のホームに例の彼女が立っていた。
真正面ではなく、少し離れた所に立っていたので彼女は気づいていない。

(あ~~、気まずいな~。気づかれないようにしよ~(;´Д`))

オレはすばやく、ホームの柱に身を隠し電車を待つことに。
しかし、無意識に彼女を見てしまう。
そりゃそうだ。罪の意識があるのだから、当然気にしてしまう。

あれっ!?
一人じゃない。彼女の隣に、もう一人いる。
彼女は一人じゃなく、友達といっしょにいた。
あれっ!?
その時、オレは戦慄した。額から汗がブワ~~~~っと出る。
背中からジワ~~~っと冷たい汗が噴出し、背中のど真ん中を
伝っていくのがわかった。
たぶん、後にも先にも、あんなに気持ちが悪くなったことはないだろう.......。

なんと.............
彼女の隣には、

オレの弟が立っていた.......(゚Д゚≡゚Д゚)

しかも、弟はオレが譲ったマフラーと手袋をしていた........

弟も彼女も笑顔で電車を待っていた。
その時の彼女のうれしそ~な顔.............。
そして、柱に隠れ様子を窺っているオレをよそに電車に乗り込み反対方面に.....。

その夜、弟にソ~ッと確認するオレ。

(オレ)『お~。お前、今日、おっ、女と駅にいたろ!?(;´Д`)』

(弟)『えっ!!.......見てた?(;´Д`)』

(オレ)『たまたまね。見かけた......友達?』

(弟)『んっ?.................かっ、彼女....かな?』

(オレ)『( ゚Д゚)』

(弟)『........ぶっちゃけ付き合ってんだよね~~(;´Д`)』

(オレ)『マヂか?( ゚Д゚)』

(弟)『みんなには言わないでね!!オレ機会みて言うから!!』

(オレ)『......(;´Д`)。うっ、うん。オッケ~、オッケ~。よかったじゃ~ん。
     かっ、彼女?かっ、彼女できてさ~~~。ねぇ~~?(;´Д`)』

(弟)『......おっ、おう....(;´Д`)。楽しいよ。毎日。』

(オレ)『あのさ~。なんか言ってなかった?お前の彼女?』

(弟)『なにが?......兄貴知り合いなの?』

(オレ)『いっ、いや~~~~。違う違う。知らない知らない。..
     とっ、特にオレのこととか何も言ってないよね~...........?』

(弟)『だって、兄貴のこと知らないのになんで何か言うのよ?』

(オレ)『だっ、だよねだよねだよね~。そりゃ、そうだよ~うん。そりゃね。
     ん~~~~~~。..............忘れて。忘れて。今のオレの言ったの。
     忘れて』

(弟)『............(;´Д`)よ~わからん。』

(オレ)『ところで、お前、彼女のどこがよかったの?』

(弟)『なんで?』

(オレ)『いや、いや。深い意味はないんだ。深い意味は。何がよかったのかな~って。ハハハハハ。』

(弟)『う~~~ん。顔はカワイクはないよ。顔は。見ての通り。
   でもね。
   すげ~~~~、性格は素直でカワイイよ。性格。

(オレ)『.......................(;´Д`)』

......................母さん。オレは最低です....................。
そして、女は、女ってヤツは........驚くほど怖い生き物です。

今日も空が青いな~..........

っとまぁ、ウソのようなホントの話。

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