オレ

部長、立会い出産を語る

先日、立ち話をしている時、部長がこんなことを言い出した。

(部長)『全く"立会い出産"なんてシステムを
     最初に言い出したのは一体誰なのかね~。しかし』

(僕)『う~~ん。確かに。誰が言い出したんですかね。』

(部長)『アレって、どう思う?』

(僕)『う~~~ん。難しいこと聞きますね。
   特に強制ではないから、どうしてもって人のためには
   あってもいいんじゃないですかね~』

(部長)『お前はアレだな。やさしいわな』

(僕)『そんなコトはないですけど』

(部長)『だってさ。”どうしても”って人じゃなくても
     嫁に”絶対に立ち会って!”って希望されたら
     断れないだろ?普通。男の甲斐性として』

(僕)『まぁ.......そうですね。
   平たく言えばそういうことになりますかね........』

(部長)『普通そうなるよな?
     とにかく、オレはアレがイヤなのよ。アレが。
     手持ち無沙汰なのが!

     目の前では嫁がウゥ~ンウゥ~~ンってうなってて、
     それはもう真剣勝負な最中(さなか)にだな。

     ”立ち会って!”っていうから立ち会ったものの
     なぁ~~んもやることないわけよ。』

(僕)『確かに........ボォ~っとしながら
    ”頑張れ!”とか言うしか他にやることないですもんね』

(部長)『だろ?
     仕方なしにお前の言うとおり”頑張れ!”とか言うと、

     ”頑張ってるわよ!見りゃわかんでしょ!”

     とか言って怒られるもんだから頑張っても言えなくなって。
     じゃ、ビデオでも撮るかって構えてると助産師に

     ”ビデオなんて撮ってないで応援してあげてください!”

     とか言って怒られて、オレは頑張れって言うなっていうから
     仕方なしにビデオ撮ってンのにそれもダメかってな感じでさ』

(部長)『”じゃ、このテニスボールで尾?骨(びていこつ)のあたりを
      押してあげて!”って助産師に言われて、尾?骨をグイグイ押してたら

      ”あぁっ、もう!そこじゃない!もう、やらないでいい!”

      って嫁に怒られて』

(部長)『じゃ、そろそろ分娩室に行きますかってことになって、
     嫁の隣に付き添ってみるものの、相変わらずの放置プレイで。
     他の人達は自分の仕事で忙しいもんだから、
     オレ1人だけ置いてけぼりみたいな感じで。
     なんつ~の。窓際族ってこんな気持ちなんだろうなぁ~っ的なさ。

     んで、産まれるって頃合いになったら、またあの嫌な音聞くことになるだろ。
     あのオマタをハサミでカットする”シャ~コシャ~コ”って音。
  
     っでその後には、子供といっしょに胎盤が出てくるだろ。デロンッって。
     見たことあるか?アレ。もうレバーみたいな。臓器だよ。臓器。
     アレ見たあと、オレしばらく肉食えなかったからな』

(部長)『とにかく、あの放置プレイがキツイよ。なにもしないってのが。
     そんならさ。
     オレは自転車とかこいでさ。発電とかして。
     その電気で分娩室内の電気をまかなうとかしてさ。
     子供産まれるまでず~~っと。

     ”オレも頑張るから!お前も頑張れよ!”的なさ。

     その方が全然ましだよ。ほんと。
     なっ!そう思わないか!?』

部長。
あなた世界中の女性を敵にまわすつもりですか?...........



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