嫁の一撃

夫婦喧嘩は犬も食わぬ

夫婦喧嘩は犬も食わぬ。

“夫婦喧嘩は、つまらない原因であったり、
一時的なものであったりするから、
他人が間に入って仲裁したり心配するものではない“

というたとえ。だそうだが、はたしてそうか?
たしかに他人が仲裁に入る必要はないとは思うが、
”つまらない”、”ささいな”事をそのまま放置してよいのか?

その”つまらない”原因の蓄積が、
とんでもない大事に発展する危険性を往々にしてはらんでいる。
その事を10年の結婚生活によって身にしみて理解した僕としては、
”つまらない”を”つまらない”のままで放置することは
避けた方がよいと考えている。

”つまらない”はボディブローのように効いてくるのである。

”つまらない”不満が腹の中にチビリチビリと溜まっていき、
表面張力ギリギリの所まできて、ツ~っとこぼれた時、
たまたま手元にあった”つまらない事”を起爆剤にして
大爆発を起こす。

つまり”つまらない”事が原因ではなく、
”つまらない”事は起爆剤というか起爆点なだけで
原因はそれまでに膿のように溜まりに溜まった
”つまらない”だったりするのだ。

だから、
『なんでこのタイミングでこの人は、
 そんな昔の小さい事をウジウジ言ってくるのだろうか?』
という長年の謎はやっと解決される。

その昔の小さい事も怒りの対象だからである。

大概、これらのつまらない事を”つまらないモノ”として
考えてしまい(またはイチャモンとして)
『はいはい。分かった。分かった』
っと放置してしまいがちなだけど、
言ってる本人からしたら熟成に熟成を重ねた
長年の恨みつらみな訳だからそれを無下に扱われれば
一気に終着点まで行ってしまい、
訳も分からぬままに別居、離婚なんてことになりかねない。

何事にも原因というものがあるのだ。

先日、我が家でちょっとした小競合いがあった。

次男が何かの予防接種が原因で熱を出した日のことだ。
生後6ヶ月の子供が熱を出すと、何が厄介って
ず~っとグズって泣いているってトコだ。
それは、際限なくエンドレスで泣き続け親の精神を冒していく。
マヂでキツイ。

『たぶん、一日中付き合わされて大変だろう。
今日はできる限り早く帰ろう。』
と自分なりに予感が働き、その日は18:30頃までに
仕事を切り上げ早急に家路に着いた。

ドアを開けてリビングに入るや否や嫁の鬼の形相で
こう言い放った。

『なにしてんのよ!遅すぎるじゃない!
 こんな時くらい早く帰ってきてよ!』

十分に早く帰ったつもりだっただけに、一瞬怒りが込上げたが、
そこはグッと堪える。これは起爆点なだけだ。
コレまでの蓄積と今日一日のストレスが原因だ。

『ごめん。ごめん。遅くなっちゃって』

『全く、なんでもかんでも私に任せないでよ!』

オレ、ガマンだガマン。
ちなみに、この週、僕は嫁は熱発(ねっぱつ)したために
次男の面倒を見るべく会社を1日休んでいる。
だからといって、
『なんでもかんでもお前に任せてるわけじゃないぞ』
なんて口が裂けても言ってはダメだぞ。オレ!

『稼ぎが少ないのに残業だ、土曜出勤だって多すぎるのよ』

『学校の事だって、なんだって私ばっかやってるじゃない!』

『ご飯だって全部私が作ってるし、
 一品くらい作れるようになったらどうなのよ!』

『大体、イビキがうるさすぎるのよ!!全然眠れないじゃない!』

んっ!?

『それに足が臭いのよ!帰ってきたら、まず足洗えばいいのに!』

ちょっ、ちょっと方向性が変わってきた気が......。

『ヒゲが濃すぎるのよ!夜中、見たらコソ泥かと思ったわよ!』

...................

『また、その髭が洗面所に落ちてるし......。髪の毛は落ちてるし。
 スネ毛はその辺に散らしまくってるし。ったく。どういうつもりよ!』

ウチの嫁は色々とストレスが溢れてるようだ........。
そして僕はちょっとトイレで泣いた.....。てか、泣かされた。

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