こんな所で声を大にして図々しく書くことじゃないんだが、
世間一般の方々と同じように、僕と嫁は色々と
あ~でもない、こ~でもないって感じの色恋沙汰があって結婚した。
繰り返します。
35歳になってこんな事書くのは自分自身気持ち悪い。
ネタがないので、オエオエ言いながら書いてる感じだ。
もう、しばらく続きますが気持ちの悪い方はこの辺で
引き返してくださいませ。
興味のある方だけ、恐れながらズズズと読み進めていただきたい。
嫁と知り合ったのは、僕が社会人2年目24歳のときである。
嫁と会社の上司が知り合いで、食事に誘われて行ったら、
そこに居たという感じ。
入れ揚げたのは僕のほうだった。
一目見たその時から「もう絶対この人だ」と思い込んだ。
当時、僕も嫁も別で付き合っている相手がいた。
僕の方は、もう夢中なもんだから。嫁にね。
今となっちゃ大変申し訳ないことをしたと反省しているが、
「好きになった人がいるから」と当時付き合っている人と
即刻別れていただいた。
僕は単細胞なので、そういう時、上手く立ち回ることができない。
二股できる人ってのはスゴイね。
なぜ顔にも出さず平然と何人もの人と付き合うことができるのか?
うらやましい限りだ。
その後、それはそれはストーカー並のしつこさで嫁に迫り続けた。
それだけ聞くとホントにストーカーになってしまうので補足するが、
しつこくするにはそれなりの理由があってのこと。
彼女と別れるか別れないかというタイミングで
嫁の方もまんざらでもない素振りで、
今付き合っている男と別れるという事をほのめかしていたし、
その段階で既に僕の家に泊まったりしていたわけで。
その状況だったら『イケるんじゃないか?』って思ってもしかたない。
僕がホントに彼女と別れたと話した時の
嫁のヒキっぷりたるやヒドく、顔にアリアリと出ていて
今冷静に考えてみると、たぶん嫁としては、
僕をただの浮気相手として考えていたのだろうと思う。
「遊びのつもりだったのに、こいつ本気で別れやがった」と。
そこからの嫁の及び腰たるや凄まじく、
今まで、あれだけ言い寄ってきてたくせに、
「今の彼氏とは別れられない」とかなんとか
言い出して、サッサと縁を切りたい態度に出始めた。
今さらそんなこと言われても
こちとら彼女とも別れて背水の陣で臨んでるだけに
一度付いた火をそんな簡単消せるわけもない。
「私、彼氏と別れられないし、結婚前提だから。ごめんね」
と言われても、
「二股で構わない。別れるまで待つ」
と、言って待ち続けることになった。
待て待て。ここでちょっと確認するが。
面白いか?この話?
大丈夫か?ココまで書いてきてなんだが、
若干ヒイてきたな......。
まぁ、ホントに、ホントに読みたい人だけ読み進めてくださいね。
では、続き。
当時、嫁の付き合っている男というのは、
12歳年上の30代中盤の男で、二人は結婚を前提に付き合っていた。
既にプロポーズされていて、
まだまだ社会人になりたてだった嫁は
「もう少し待ってくれ」
と一度目のプロポーズを断っている状況だった。
断ったとはいえ、
今はダメだけどもう少し時間をくれれば、いずれは結婚する
っていう前向きなお断りなわけで、実質的には婚約状態だった。
これが地獄の始まりである。
相手の男はこの事を知らず、
嫁には二股でイイっと言ってしまっている以上、
僕が浮気相手で、相手の男が正式な交際相手なわけだ。
休みの前日は基本的に正式な交際相手の家にお泊りに行くし、
イベント、例えばクリスマスとかそういう時も正式な方を優先せざるをえない。
嫁としては、相手の家にいる時に浮気相手から電話やメールが入るのは、
絶対にN.Gなので、相手の家に行く時は必ず僕にメールをしてくる。
『今から行って来ます。明日の夕方には自宅に帰ります。ごめんね。』
っていう身を裂かれるようなメールを受け取ることになるのだ。
コレは受け取った人間でないと分からないだろうけど想像以上にキツイ。
受け取ったその夜なんて眠れるわけがない。
恋焦がれている相手が、今この時、見知らぬ男の家で
色々とナニしちゃってるわけだからね。
キツイよ。コレは。
嫁もこの事を気にしていて、
『ホントにもうイイから別れてくれないか?』
っと何度も言ってきた。
そりゃ、そうだろうな。普通の人間なら。
いくら相手が二股でイイって言ってるからって
良心の呵責ってもんがある。
それでも僕は断固として譲らなかった。
『大丈夫。お前がイイっていうなら気長に待つから気にしないで』
と、半ば意地と見栄で言っていたと思う。
いや~、嫁からしてみれば相当ウザかっただろうな。間違いなく。
それで、この状況が1年続くことになる。
もう、この期間は記憶がないくらいにツラかった。
人間てのは怖いね。
冷静な判断がつかなくなるんだよね。ああいう時って。
あの状況が『憑き物がついてる』状態なんだろうな。
京極堂的にいうと。
なんていうのかね。自分に酔ってくるんだよね。たぶん。
今となっちゃ、気が狂ってたとしか言いようがない。
一年て。普通、途中で諦めるだろう。っていうね。
んで、忘れもしない一年後の2月14日。
事態が動いた。
当時、中目黒駅前にあったベッカーズというファーストフード店に
バレンタインのプレゼントを渡したいという名目で呼び出された。
その時、嫁から朗報がもたらされた。
朗報がもたらされたって....。固いな。こりゃ。まぁ、いいか。
「今の男とは別れる。正式に付き合って欲しい」と。
この時、正直言うと嬉しいという気持ちは、あまり無かった。
嬉しいというより、「やっと終わった....」という安堵感が強かった。
「やっと、ぐっすり眠れる」と。
でも、その後、
「いやいや、待て待て。まだだ。
こいつは、突然”やっぱりやめた”って簡単にいうヤツだから
信じるのは、まだ早い」
っと思い返したのを覚えている。
そう考えると、
「好きで好きでどうしようもないから付き合って欲しい」
っていう気持ちは、その時既に無かったんだと思うね。
どっちかっていうと、やっとゲームクリアできたみたいな感じ。
ミッションコンプリートっていうか。
やっぱり、意地になってたんだな。そう考えると。
んで、その後、何度も考えた。
なんで男と別れてくれたんだろうか?
不思議だよね。
実は僕は、もうダメだろうなっと半分思っていた。
ずっと、このままって訳にはいかないから、
そろそろ自分の気持ちの整理をつけないと相手にも悪いなぁって。
その矢先に、こういうジャッジを受けたもんだから
余計に『なんでだろう?』って考えた。
たぶん、二人だけで秘密を共有したことが良かったのかな
っと思っていた。それと嫁も情に流されたのかなって。
んで、当時、思い切って嫁に聞いてみた。
『なんでコッチを選んだの?』って。
そしたら嫁がこう言うんだ。
「そうねぇ。別にあなたの顔が抜群に好きなわけでも、
性格が抜群に合うわけでもないし。
あなたに経済力があるわけでもないしね。
う~~ん。難しいけど、強いて言えば
”この人のほうが幸せにしてくれそう”と思ったことがあるのよね。一度。
それはね。普通に二人で話してて、あなたが何気なく言ったことなんだけどね。
その時、いつものように私が、
”そろそろ諦めて別れましょうか?
あなたに悪いし。実際、正式に付き合うことになったとして
こんな二股掛けてる姿見てたら信用できないでしょ?そんな女。
こうなっちゃった以上、普通にお付き合いするのは無理じゃない?”
って言ったら、あなたが
”そんなコト気にしなくていいよ。
分かってやってることだから。
初めて会ったときから、別に男がいることも知ってたし。
それを承知の上でお願いしてるんだから。
その男を好きな君を好きになった以上、
......その男への気持ちをひっくるめて君をもらいます”
って言ってさ。
ちょっと感動してしまって、「この人なら.....」って思ったことがあるわね。
コレ結構強烈に覚えてるから選んだ要因の一つかも。」
へぇ~。そうか。そうだったか。
確かに言った覚えがある。
本人が言うくらいだから、ホントに感動したんだろうな......。
でも..........。
でも、正直言うと嫁を感動させたこのセリフには実は元ネタがあるのだ。
実は、コレは1980年~1987年まで続いた
高橋留美子の『めぞん一刻』の中で
主人公 五代裕作が音無響子の元夫 惣一郎の墓前で
語るこのシーンのパクリである。
「正直言ってあなた(惣一郎)がねたましいです・・・
遺品返したところで響子さん絶対あなたのこと忘れないと思う。
忘れるとかそんなんじゃないな・・・・
あなたはもう、響子さんの心の一部なんだ・・・
だけど、おれ、なんとか、やっていきます。
初めて響子さんに会った日からあなたがいて・・・
そんな響子さんをおれは好きになった。
だから・・・あなたもひっくるめて響子さんをもらいます。」
当時、嫁がその男の家に行く夜は気が気じゃなく、
全く眠れない状態だった。
そんな状態で自宅で横になっているのは
あまりに苦痛だったので、気晴らしも兼ねて
夜な夜な駅前の24時間営業のマンガ喫茶に
入り浸っていたのである。
ちょうど、そこで学生時代に古本屋で全買いした
「めぞん一刻」を見かけて、また自分自身の現在の
心模様ともあいまって一気読みしたばかりの頃だったのだ。
じゃなきゃ、こんなハズカシイセリフが平然と口をついて
出てくるわけがない。
つまり、僕は、
借りたセリフで、嫁をゲットしたわけである。
いや~、人生、色々な引き出しを持っていたほうがいいね。
なんでも覚えておくにかぎる。
しかし、まさか自分が借りたセリフでオトされたなんて
知れたら、たぶん八つ裂きの刑に処されるだろう。
それでなくても惚れた弱みで、付き合いだしてから今まで
ずっと尻に敷かれ続けているのに、
嫁本人には絶対に知られるわけにはいかない事実である。
ともあれ、この「めぞん一刻」。
たぶん、僕世代までの人は結構メジャーなマンガで、
ほとんどの人がストーリーを知っているはず。
ホントに良いマンガなので読んだことのない世代の皆さん、
ちょっとでも興味のある方は一度読んでみてはいかがでしょうか?
10代の皆さんはご自分のお父さんお母さんの青春時代を
感じられると思います。
泣きますよ。ホントに。